若者をシンガポールに連れて行きたい理由は英語や異文化理解だけではありません。
日本ではなかなか学ぶことのできない、アジアの現代史を学んでもらいたいからです。
皆さんは、第二次世界大戦中、3年余り、シンガポールが日本に占領されていたことをご存知ですか?
恥ずかしいことに、私はシンガポールに来るまで知りませんでした。
シンガポールに到着した翌日、友人がシンガポール国立博物館に連れて行ってくれました。
ここで私は、実に多くのことを学びました。
マレー作戦、シンガポールの戦い、華僑粛清、強制献金などなど
苦しい戦いを知恵と根性で勝ち進んだ日本兵の快進撃には驚きと誇りと感謝と哀れさを覚え、
シンガポールをはじめ日本が侵略した国の方には申し訳ない思いでいっぱいになりました。
シンガポールにいる間、私は、シンガポール人の年配の方の何人かに、
「戦争中はご迷惑をかけましたね。ごめんなさい」と謝りました。
皆さん、誰一人として恨み言を言いませんでした。
みな、「あの時代は仕方がなかったんだよ。戦争は人を狂わせる。
戦後の日本はシンガポールのお手本だったし、シンガポールを発展させてくれた」
と言ってくれたのです。 シンガポールの歴史教育のおかげです。
中国や韓国とは異なり、シンガポールでは、対戦国を恨む教育をしていません。
日本がアメリカ人を戦争のことで恨まないのと同じです。
でも、思うのです。
もしも、アメリカ人が
「ゲンバク? なにそれ? 習っていないもん。 知らない。 作り話じゃない?」
なんて言ったら、私たちはどれだけ傷つくでしょう。腹を立てるでしょう。
だから、私たちは、事実を知らなければいけないのです。
子どもたちに伝えなければいけないのです。 それが大人の務めなのです。
歴史の教科書に書いてない。学校で教えない、といって素通りしてはもったいない。
歴史を学ぶことで、私や子どもたちはどれだけ多くのものを得たことでしょう。
アジアのために、日本のために、社会に貢献していかなくてはいけない、と思うようになりました。
生きていく力を与えてもらったと言っても過言ではありません。
それをツアーに参加する学生には伝えたいと思っています。