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情報の出どころを必ず確認する (そのために英語を学ぶ)

私は普段、テレビ局でリサーチャーとして働いています。
ほぼ毎日、どこかの番組で仕事をしています。

リサーチャーとはどんな仕事をしているのでしょう。
テレビ局で「通訳さん」とか「翻訳さん」と呼ばれる私たちの仕事は、

  • 海外から送られてくる映像を聴きながら訳し、必要な部分の字幕や吹き替えを作る。
  • 一次情報(情報の出どころ)を探して確認する。
  • 日本のテレビで放送していいか許諾を取る。
  • 海外にインタビューをする。

など多岐に渡ります。
個人であれば、勝手にシェアしてしまう画像や動画も、テレビ局は必ず情報を出どころを確認をした上で、版権の交渉を行って、放送しているのです。(新聞社や出版社も同じです)

例えば、先週の仕事は、こんな感じでした。
テーマは「オーストラリアの火災」 
ワイドショーだったので、放送時間も長く、いろんな情報や映像が必要です。

オーストラリアの火災では次のような写真が「NASAが撮った写真」としてネットで広まっていました。アメリカの大手メディアもこの写真を載せてしまいました。


オーストラリアの火災の激しさをわかりやすく伝えていて、かなり拡散していたので、使えるかどうか調べて欲しい、とディレクターから指示がでます。

ところが、調べていくと、この映像は、NASAの衛星写真などではなく、ブリスベン在住のグラフィックデザイナーが、NASAが発表している火災情報の過去8ヶ月間で火災で燃えた範囲のデータから画像を作ってインスタグラムにあげたものだということがわかりました。元の写真には、ちゃんと説明がついていたのですが、別のオーストラリア人が、この画像だけを自分のフェイスブックに載せて「オーストラリアのために祈って」と書き、この画像が拡散されていく過程で、この写真が「NASAからの衛星写真」となったのです。

よって、この写真は、テレビ番組で使えないことが確定しました。


次に、ディレクターが取り上げたいと思ったニュースが、オーストラリアでは、干ばつにより、人間とラクダの水の争いになり、野良ラクダを1万頭射殺する許可が出たというニュースです。
まずは、現地メディアで確認して、次に発表を出した行政の通達も見つけて事実確認をしました。偽情報ではありませんでした。

リサーチをしていくと、次のことがわかりました。
19世紀の植民地時代に開拓の荷物運びのために英国インドやアフガニスタンから連れてこられたラクダは、自動車の普及により逃がされ、野生化し、オーストラリア中部の乾いた大地に適応して、9年ごとに倍増、今では100万頭にまで増えて、環境や農作物への被害を出し、水の奪い合いで人間の生活をも脅かしていることがわかりました。被害額は、年1000万豪ドル。立派な害獣です。

「水をめぐる人間と野生動物の戦い。ヘリコプターからラクダを殺処分。」というのは日本にはない情報で、水問題、環境問題、広い大地、害獣駆除などいろんな問題を提起できるので、ぜひ使いたい、映像を探して欲しい、という指示を私は受けます。

はいっ!

ところが、動物愛護意識の高い、オーストラリアでは、ラクダの殺処分の映像など見つかりません。(残酷なのは放送できませんが、スナイパーが乗ったヘリの映像は欲しい)

ところが、今回のラクダの1万頭殺処分を伝えるルコの放送局が制作した映像が、見つかりました。投稿されたのもその日でニュース性が高く、ヘリもラクダも火災も写っていて、まさしく放送意図とも合っています。

よし、次は、情報確認と版権交渉です。

放送時間が迫っているので、メール、Facebook, instagram, Twitterで英語とトルコ語でメッセージを送っったのですが、返事がすぐになかったので、トルコに電話しました。ところが、英語を話せる人がいません。「5分後に」が4回も続きます。「メールを見て」ということすら通じないのです。(日本も大差ないのですが)。

ところが、並行して他の映像を探してていると、偶然、BBCのドキュメンタリー番組の映像で、トルコの映像と同じヘリコプターの映像を発見。トルコの映像は、今回のニュースでもなんでもなく、数年前に作られたBBCのドキュメンタリー番組のヘリの部分を編集して作っていたのです。

しかも、BBCの映像に写っていたのは、ラクダを殺処分するスナイパーのヘリではなく、輸出用、食肉用に、ラクダを追い集めるヘリだったのです。

よってこれもボツ。ちなみにこのトルコメディアが制作した映像は30万回以上見られています。嘘情報ではないので問題はないのですが、このようにニュースらしい映像を作ることは簡単であり、とても危険です。

他にも使えると思ったラクダの映像が、全く異なる文脈で撮影されたものだということが判明し、使えないことがわかりました。
このように、テレビ番組は、ワイドショーでも、慎重に制作されているのです。

使えないことがわかるとがっかりしますが、使わなくてよかったと安心もします。

テレビよりもネットの方が面白い、という声を聞きます。

しかし、刺激的な映像を安易に匿名でシェアしたり削除したりできるネットの報道と、会社や番組の名誉をかけて制作している新聞やテレビといったメディアでは、作られ方が全く違うのです。


長くなりましたが、今回の投稿で私がみなさんにお伝えしたいことは3つです。

  1. 情報は鵜呑みにしないで、一次情報(情報の出どころ)に当たること。
  2. 英語の情報が多いので、英語力をつけておくこと(政府発行の文章は硬い)
  3. ネットの情報は早くて刺激的だけど、テレビや新聞の方が信頼性がある。


今年に入って、ゴーン脱出、イランの爆撃、オーストラリア火災、ヘンリー王子など、海外ネタが多く、忙しい毎日を過ごしていますが、今週 英検を受ける参加生徒のお尻も叩いています。

英語入試改革が延期になり、生徒たちの勉強意欲が急に下がった感じで心配です。

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特に男子のお申し込みをお待ちしています。











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