先生の教える技術もありますが、それ以上に素晴らしいのが、シンガポールの小学生が使っている英語のテキストです。
テキストを見ていただければ、子どもたちの英語がどうして伸びるのかが分かってもらえます。
シンガポール式英語教育、とは私は呼んでいます。米英豪で使われている教授法と異なります。
シンガポール式英語の特徴は、基本例文を書きながら基礎を定着させることです。
文法も英作文も短い例文をどんどん書きながら、身に付けていきます。
発話では見落としがちな間違いを、きちんと訂正し、正しい英語を身に付けます。
シングリッシュと揶揄される、ブロークンな話し英語ではありません。シンガポール学生のアカデミックは英語能力は世界トップクラスです。
日本人が6年間学んでも英語ができるようにならない理由はいくつかあります。
でも、その中の、「クラス定員が多く、生徒の習熟度もまばら。そんな環境で英語教師に求められる能力は、英語力よりも指導力。教師自身が英語を学ぶ機会がなく、自信が無いために日本語で教え、生徒が正しい英語に触れる機会が少ない。そして受験英語に対応するため、哀れな中高生は使えない英語のために何千時間も費やす。」という問題は解決する方法があります。
シンガポール式のテキストは、ひとクラスの人数が多い日本の教育現場でも使いやすく、生徒と教師の英語力を高め、落ちこぼれを出しにくく、評価がしやすく、教師の準備作業を軽減し、財政の負担を減らし、ALT外国人教師の教育効果を最大化します。
私は、シンガポール式の英語教授法で、日本人の英語力を伸ばしたいと思っています。
中高生を重箱の隅をつつくような受験英語から解放し、真に使える英語を学ばせたい。
英語教師の負担を減らし、教えながら、英語力を向上していただきたい。
財政の負担は最小限に。
シンガポール式のテキストはこのページで紹介しています。
シンガポール式のテキストを日本の教育現場に導入することで、以下の様なメリットがあります。
1) 日本の教育現場に導入しやすい。
ひとクラスに30人以上の教室で、英語の会話が教えられるでしょうか? 私には不可能です。
どうしても、何割の生徒は、わからないまま授業が進んでいきます。
でもシンガポール式のテキストを使って、書きながら英語を身につけていく方法ならどうでしょう。
隣の生徒どうしで採点しあうこともできます。
教師は、生徒の間違いや弱点、授業についていかれない生徒を早期に発見できます。
2) 日本人英語教師の負担軽減、教師と生徒の両方の英語力向上。
シンガポール式の英語テキストは体系的で少しずつ着実に英語の力をつけていきます。わかりやすい例文の後は、三択→空所補充→書き換え→英作文 という段階を経て、その文法を使った文章が書けるようになります。
教育史を見ていると、文法中心、読み書きの英語が批判され、会話中心になりもっと英語力が下がりました。
「文法重視」と聞くと、40代の人は、またあのいつ使うのかわからないような文法を習うのか、と暗澹たる気持ちになるかもしれませんが、メソッドが違います。
日本式英語教育の文法は日本語で教えます。
英語教師は、英語文法用語 現在完了過去形とか不定詞とかの用語を繰り返すため、生徒は、肝心な「英語の例文」よりも「文法の用語」を覚えてしまいます。文法を頭で理解しても、いざとなった時には英文が出てこないのです。
シンガポール式英語教育は、短く正しい例文にたくさん触れることで英語文法を身に付けます。
正しく、短い英文を沢山書いていくうちに、現在完了形とはこういう時に使うのだ、前置詞や冠詞はこう使うのだ、ストンと腑に落ちるのです。
茂木健一郎先生ではありませんが、この「あは、体験」は、私も体験しましたし、子どもたちも体験しました。
私はいろんな年齢の人に英語や日本語やフランス語を教えていますが、大人は理屈がわからないと学べないことが多いのに対し、子どもや若者は用例や失敗から、自分で文法を応用し、身につけていきます。
私自身(一応、英検1級、TOEIC970点、教職免状持ち)、小学生低学年のテキストを見ても学ぶことが多く、6年生のテキストに至っては学ぶことばかりです。お忙しい英語の先生方も、英語を教えながら英語力を伸ばすこと請け合いです。
シンガポールのテキストは眺めるたびにうっとりします。
こんな教材で英語を学べたらどんなに良かっただろうと心から思います。
3) 低予算
シンガポール式のテキストは、白黒のためか一冊の値段がとても安いです。
ワークシート方式なので、文科省が版権を買って、先生がどんどんダウンロードできる方法が可能なら手軽になります。
ひとクラスの生徒の数を減らすことなく、教師の教材づくりの労力も削減するので低予算です。
4)「会話」のためにも「文法」が大切
海外にいた時、日本人の英語が通じていない場面に何度か遭遇しました。
シンガポールのマーケットや街角で、英語のできない日本人の方の英語を聞いては哀れに思うことが何度かありました。
「通じない」と悩んだり、怒ったり、している方の原因のほとんどは文法でした。
「見せて」と言おうとして「Look!(見て!)」
あと、単語の羅列のために、まるで奴隷に話すかのような命令調。本当は品のいい奥様なのに。
英語で仕事をしなくてもいい、喋れればいい、と思っている人も、書いて直してもらって、初めて正しい会話力も身につきます。
オリンピックの2020年までに、自信を持って話せるようになりましょう。
(5)「小学校からの英語必修化」 「高校からは英語で授業を」という難問も解決。
保護者や産業界がそう要求したくなる気持ちもわかります。
でも、予算は?誰が何を教えるの? できません、という教育現場の気持ちもわかります。
小学校から教えれば英語力がつくの?文法が身についていない教師が教えたら弊害が多いのでは?問題は勉強時間と意欲の少ない中高生じゃない?という研究者たちの意見にも賛成です。
そこで、シンガポール式の英語教材は解決になると思います。
例文が平易なため、小学生でも学びやすい内容です。
説明が英語で、例文が中心なので、英語教師が英語で説明や問いかけがしやすくなります。
私が調べたところ、何冊かの問題集には、先生向けの解説がついているものもありました。
(5) 外国人教師には、自由英作文を
日本の外国人の先生方はほんとうに大変な思いをして英語を教えていらっしゃることと思います。
コミュニケーションの授業をするには、ひとクラスの人数が多すぎるからです。
小学生から無理に必修化する予算があったら、中学のALT教師の授業の定員を半分にして欲しいと思います。
外国人の先生方には、日本人の先生方には教えにくい、発信型の英語、自由英作文やプレゼン、オーラルコミュニケーションや発音などを指導してもらいたいと思います。
自分の考えを発表する授業は、私がシンガポールに連れて行く生徒たちも大好評です。
日本の生徒が英語が好きになることを願ってやみません。
今後、学年別で、テキストをどんどん紹介していきます。