ワクチン嫌いの日本人
まず、このグラフをみてください。
日本の子宮頸がんワクチンの接種率です。
日本の子宮頸がんワクチンの接種率です。
出典:みんパピ! |
(1)子宮頸がんの恐ろしさ
ワクチンで唯一防げる子宮頸がんは、先進国では罹患率が下がっているのに日本では増えています。
出典:2019年11月26日 日本産婦人科学会の資料 |
がんの発生率は、先進国はどこも多いけど
(50歳未満のがんの発生率 2020年)
出典:国際がん研究局 |
ワクチンで予防できる「子宮頸がん」に限ると、
子宮頸がんワクチン接種が進んでいるオーストラリアでは、もう「まれ」ながんになりました。
日経の記事には
子宮頸がんは子宮の出口近くにでき、若い女性のがんの多くを占める。日本では毎年約1万1千人の女性がかかり、毎年2800人が死亡する。30代までに治療で子宮を失う人も毎年約1200人にのぼる。(日本経済新聞 2020年11月15日)
2800人の命
1200の子宮💦
死亡者数は増え、
日本産婦人科学会のサイトより |
●日本における20〜30歳代の女性特有のがんの罹患率と死亡率の年次推移
20〜30歳代の世代における女性特有のがんについてみてみると、乳がんや卵巣がん、子宮体がんと比較して、子宮頸がんの罹患率は増加傾向にあります(図4)4)。また、死亡率においても、他のがん種では、ほぼ横ばいの推移となっている一方、子宮頸がんの死亡率は増加傾向にあります(図4)2)。
若い人に多いがんで、年齢別にみるとこんな感じです。
国立がんセンターのサイトより作成 (国立がんセンターさん、データ更新お願います) |
2ー30代といえば、結婚・妊娠・出産・子育ての時期です。
MSD Connect |
これから結婚、出産をする若い女性が、子宮頸がんにかかってしまった時の絶望感😭😭😭😭😭
マザーキラーと呼ばれるこのがんで幼い子供を残して亡くなる母親の無念😭😭😭😭😭
若い女性の子宮頸部を摘出しなければいけない医師の苦悩😰😰😰😰😰
新型コロナワクチンで同じ過ちを犯さないためにも。
ここでは、なぜ、日本のワクチン接種率が低いのかを考えます。
(2)なぜこんなにワクチン接種率が低いのか?
①マスコミの報道
中高生の皆さんは知らないかもしれませんが、保護者の皆さんは覚えていますね。
きっかけは2013年のマスコミの報道です。
子宮頸がんワクチンを接種し、歩けなくなったり、計算ができなくなった女子生徒が、国や企業を訴えるニュースが連日、報道されていました。
2016年10月16日Yahoo ニュースより 2016年12月 Buzzfeed 「救えるはずの患者を救えない」 子宮頸がんワクチン副作用「問題」はなぜ起きた?参照 |
重い症状が出た少女のお母さんが、車椅子に乗る少女の横で「こんなことになるなんて知っていたら、子宮頸がんワクチンを打たせなかった。知らない人に知ってほしい」と涙ながらに訴えていました。
②厚生省が「積極的勧奨」を中止
世論の高まりを受けて開かれた2013年6月14日厚生省の専門家会議で「定期接種を中止するほどリスクが高いとは評価されなかった」にも関わらず、「同副反応の発生頻度等がより明
らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間」、「積極的勧奨の一時中止」が決定されます。 つまり、予防接種の案内が届かない、ということです。連絡がなければ普通、親はわかりませんよね?
現在のリーフレットはもっと優しい感じになりましたが。
(4)ワクチンを接種させなかった親の声
これは名古屋市が行った子宮頸がん調査(名古屋スタディ)です。保護者の声を読むと、マスコミ、特にTV番組の影響がどれだけ大きかったがわかります。
(5)2013年以降HPVワクチン離れが急激に進む
マスコミのセンセーショナルな報道と、厚生省の子宮頸がんワクチン推奨停止と、一般国民のワクチン恐怖により、HPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)ワクチンの接種率は激減します。そして、2000年生まれから2004年生まれの5年間、ちょうど、今、大学生3ー4年生ぐらいの子たちからがワクチン非接種世代です。
私の生徒たちの世代です。
そして、
HPVワクチンの積極的な勧奨の差し控えにより、1学年あたり4500人以上が将来子宮頸がんになるという研究が発表されました
な、な、なんと、厚生省が積極的勧奨の決断を1年遅らせるごとに、1学年あたり4500人以上が将来、子宮頸がんになってしまうという論文が発表されました。日本語でわかりやすくまとめてくださった記事はこちらです。
みんパピ!より |
女の子だけの問題ではありません。このウィルスは当然男の子にも感染し、中咽頭がんなど様々ながんを引き起こします。(リンク)
なくなる必要のない多くの命が失われてしまうのです。
積極的勧奨中止により1万人超の女性が死亡という研究データがあります
ワクチン接種は性体験前が効果的で、そういう意味では状況は待った無しです
高校1年生のみなさん!HPVワクチンを接種をお願いします!3月31日までは無料です。
接種しないと、みなさんの学年の4500人が子宮頸がんになると試算されています。
これは100人あたり7ー8人です。そしてワクチンで防げるのです。
無料で接種できるのは、3月31日までです。(中学生の人は、在庫がなくなっちゃうといけないから、4月以降に接種してね)
接種は3回必要です。残りの2回は、一緒に活動して、無料にしましょう!
最新のリサーチ内容はこちらで更新しています。
参考資料
Buzzfeed 「救えるはずの命が救えない」子宮ワクチン問題はなぜ起きた?
日本における20〜30歳代の女性特有のがんの罹患率と死亡率の年次推移
「なぜ打たせてくれなかったの?」子宮頸がんワクチン、接種できなかった悲痛な叫び
Wedge「因果関係確認できず」名古屋市の子宮頸がんワクチン調査とメディアの曲解
Cancer Today: 子宮頸がんの推定罹患率(2020年)(50歳未満)
オックスフォード・アカデミック 日本の新聞におけるヒト・パピローマウィルス・ワクチン接種に関する報道の動向(英文)
ネーチャー誌:世界はHPVワクチンが安全だということを受け入れなければいけない(英文)
ネーチャー誌:日本がHPVワクチンの政府推奨を長期的に停止していることによる子宮頸がん罹患率および死亡率の可能性(英文)
先端医療社会コミュニケーションシステム:社会連携研究部門 HPVワクチン騒動は朝日新聞が作った「冤罪」か」
JAMA:ソーシャルメディア時代の公衆衛生の情報伝達(英文)
ランセット:ワクチンの信頼性に関する世界的な傾向を明らかにし、ワクチン摂取に対する障壁を調査する:大規模な遡及的時間モデル研究(英文)
日経新聞 子宮頸がんワクチン普及に光明、日本の接種率0.3%(2020/11/15)
保健指導リソースガイド 子宮頸がん :「HPVワクチン」の積極的勧奨を70%まで回復すれば80%の女性の命を救える
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