学生をシンガポールに連れて行きたい理由は、英語だけではありません。
若者に、いろんな宗教に触れてもらいたいのです。
以下は私の体験です。
シンガポールに来るまで、私はイスラム教のことを、なんとなく恐ろしい宗教だと思っていました。
信者に、あれしちゃいけない、これ食べちゃいけない、って厳しすぎる。
豚肉美味しいじゃん!
女の人はいつも身を隠していて、おしゃれもできない。女性蔑視じゃないの?
1年に1ヶ月も断食月(ラマダン)があって、その間は、日の出から日の入りまで飲食できないなんて。
日本のテレビでみるイスラム教のイメージは、自爆テロ・・・。 などなど
シンガポールに3年間すんでいる間、イスラム教徒の友達が何人かできました。
そして、上記のような私の偏見は徐々になくなっていったのです。
彼らは、ラマダン月には、日の出から日の入りまで飲み食いを一切しません。(病人や妊婦は別)
最初の年は、そんな彼らが理解できませんでした。
毎日おしゃべりしていた仲良しの守衛さんには、
「今日も朝からご飯を食べていないの?」
「暑いから、のどが渇くでしょう? おなかがすいて、イライラしない?」
「水分補給しないのは危険じゃない?」
「何歳からそんなことができるようになるの? うちの子なんて1食も抜けないわ」
などと話していました。
イスラム教徒が1年に1ヶ月も日中断食をする理由を知っていますか?
イスラム教徒の友人が私に教えてくれた答えは、
「ご飯を食べられない貧しい人や苦しい人の思いを理解して、思いやりの心を育てるため。」
というものでした。
それを聞いたとき、私はイスラム教のことを「恐いと思っていたけど、優しい宗教なんだな」って思いました。
そして、もっと知りたくなりました。
その後、断食には、自分の大切な信仰を実践で表すため、という意味があることも知りました。
それから、好奇心と尊敬の念を持ってイスラム教徒の人たちと触れ合う中で、彼らの宗教、彼らの宗教に対する思いを理解していったからです。
細かいことまでは無理でも、少なくとも、彼らがどれだけ信仰を大切にしているか、ということを理解できました。 そして、もっと友達が増えていきました。
こういう出会いは、ヒンズー教、仏教、キリスト教の人ともありました。
自分は入信したり、信者と結婚したりはできないけど、彼らを理解できるようになっていったのです。
これは私の人生における大きな収穫です。
私の子どもたちも、他宗教に偏見はありません。相手の信仰を大切にするように教えました。
自分の子どもだけではなくて、これから、世界に羽ばたく学生に、いろんな宗教について知ってもらいたい。
テレビやインターネットの知識ではなくて、他宗教を実際見て、信者と出会いをつくり、料理を食べる機会を作ってあげたい。
それが、私が、シンガポールに学生を連れて行きたいと思う2番目の理由です。
今回のツアーに参加してくれる学生さんには、できるだけそういう機会を作りたいと思っています。
(ブログ内で間違ったことを書いていましたら、コメント欄で教えてください。訂正します。)