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子どもを狙うテック業界の戦争(Persuasive Technology)(前編)

どうして、子どもたちは、これほどまでにゲームやスマホが好きなのでしょう。
すべての大人の疑問です。
それに答える記事を訳しました。長いです。でも、ぜひ子どもたちと読んでください。
できれば、学校の教材にしてもらえると嬉しいです。


リチャード・フリード博士は、ネット中毒の患者を専門とするアメリカの心理学者です。
彼の最近の記事 子どもを狙うテクノロジー業界の戦争(The Tech Industry's War on Kids by Richad Freed) を要約して翻訳します。(翻訳の転載自由) 
これまでも、オンラインゲームやSNS中毒になった子どもたちを引率して、彼らの脳に何かが起こっているとは感じていましたが、こんな業界戦争に子どもたちの脳が巻き込まれているとは知りませんでした。
ゲームやSNSは、アルコールやドラッグと同じように依存性があります。

この論文のキーワード Persuasive Technologyの訳出に苦労していました。Persuasive technologyとは、「いかに自分のサイトに利用者を導き長く留めるか」という技術です。
ここでいうPersuasiveとは相手の心や行動を動かす という意味ですが、はっきりと「説く」わけではなく、相手が気づかないうちに「誘導」「誘惑」「誘引」する技術です。オーガニックラーニングの江藤先生から「心理操作テクノロジー」と提案され、とてもすっきりしました。
私の翻訳では、心理操作テクノロジーとか、誘引テクノロジーと訳しています。
さて、これからが記事の抄訳です。

子どもを狙うテクノロジー業界の戦争


15歳のケリーは、もともとは明るい生徒だったが、スマホ中毒となり、家族よりもソーシャルメディアを好むようになり、成績も落ち、機嫌の悪い子になっていった。

夜の9時に電話を渡すように約束したが守らず、親と喧嘩になった。部屋は壊され、母親は暴力を振るわれ、警察が呼ばれ、ケリーは病院に連れて行かれ、その後、フリード博士のもとに連れてこられた。

博士は、ケリーのようなスマホ中毒の女子や、学校への興味を失うまでにゲーム中毒となった男子を多く診ている。10代の後半ともなると男の子は身体も大きくなり、親がゲームの時間を制限しようにもできなくなる。

リチャード博士曰く、子どもたちがハイテク機器の中毒になる理由は予測可能の結果であり、テクノロジー業界と心理学が人知れず結びついているからである。

子どもたちが見つめるスクリーンの裏側には、心理学者、神経科学者、社会科学者のエキスパートたちが、子ども達の関心を引きつけ、企業の利益をあげるためにその知識を使っている。心理学、という癒しに関わる学問が、今や子どもへの武器として使われている。

人間を変えるマシーン


パーシュエイシブ・テクノロジー(Persuasive Technology 心理操作技術)の父と呼ばれるフォッグ(Fogg)博士は、人の考えや行動を変える機械を開発し、億万長者メーカーと呼ばれている。サイトでも、人を変えるように設計されたマシーン を作る学問を、Captology(Computers as Persuasive Technologiesの頭文字)と名付けた。事実、彼の教え子はインスタグラムの共同開発者で、8億人の行動に影響を与えている。

フォグ博士はこの技術のすぐれた面を強調するが、利用者を引きつけるこの隠れた技術のせいで、まだ柔軟な脳を持った子どもや10代の若者が、操作され、傷ついている。

パーシュエイシブ・テクノロジー(心理操作技術)という言葉を知らなくても当然。ハイテク企業は隠しておきたいからだ。この技術は、利用者の基本的な欲求、つまり、つながりを求める欲求や目標を達成する欲求、を満たすデジタル環境を創造する。子ども達は「友達」やポイントやレベルを追い求める。幸せや達成感が感じられ、子どもの発達に重要な活動(読書や野外活動)よりも手軽だからである。

この技術は大人にも効果があるが、発達過程の子どもや10代の脳に特に影響が大きい。「ビデオゲームほど、人々、とくに10代の若者に褒美を与えるものはありません。10代の少年はは能力向上欲求が強く、何かをマスターしたい、うまくなりたいと思ってクギ付けになります。ビデオゲームには褒美があちこちに準備されており、毎秒毎秒、自分の能力が上がっていくと感じられます。」とフォグ博士は言う
 少年たちは、何時間もゲームに費やし「能力が向上」することを確信するだが、悲しいかな、現実は、部屋にこもってゲームをしているだけで、成績は落ち、大学や就職先が要求するような「現実世界の能力」は向上しないのである。

 同様に、ソーシャルメディアの説得技術は、10代とそれ以前のとくに少女の年齢に応じた欲求、社会的に成功したいという欲求、を餌食にするように設計されている。人類の進化で育まれた社会性の欲求は我々のDNAに組み込まれている。ハフィントンポストの「女の子のiPhoneに起きていること」には、SNSの「いいね」の数にこだわり、スマホを手放せず宿題も睡眠も途切れがちな14歳のことが書かれている。

B.J.Foggとは本名でないかもしれない。しかし、フォーチューン・マガジンは彼を「知っておくべき新教祖」として紹介しており、彼の研究は、世界中のユーザーエクスペリエンス(UX)デザイナーに利用され、拡大している。「フォグほど、今の世代のユーザー・エクスペリエンス(UX)に大きな影響を与えた人はいない」とフォーブス誌のコスナーは言っている。

UXデザイナーの領域は幅広く、心理学や脳科学、コンピューターサイエンスなどがあるが、その研究の中核となるのは、人の弱さにつけ込む心理学である。これは、ターゲットが子どもとなると非常に有害である。「Facebook, Twitter, Googleなどどれも人々の行動に影響を与えてきたが、人の行動を変えた裏にあるのははコンピューターや技術ではなく、心理学だ」とフォグ博士は言っている。

UXデザイナーたちは、フォッグのデザインモデルを学ぶだけではなく、悪影響を見過ごすことも真似ている。UXデザイナーたちは、利用時間、利用者数を増やすため、利用者の注意を一層引く製品の開発に集中し、そこでは、どれほど多くの世界中の子そもたちが、影響を受けているか、現実の生活を犠牲にしているかは、それほど考慮されていない。

フォッグの行動モデルは、十分に検証された行動変化モデルで、動機・能力・誘因の3つの要素からなる。
欲求は「社会認知」だが、それ以上に強いのは「仲間外れになるのを避ける」欲求であるとフォッグは論文で書いている。
能力においては、「深く考える」必要のないものを設計すべきだとフォッグは提案する。よってSNSやゲームはとても使いやすい設計になっている。
誘因については、潜在的なユーザがそのサイトを使うように仕向けることだが、これには技術がいくつもあり、友人の写真が投稿されたことや自分の投稿に「いいね」がついたことを通知する機能などがある。

フォグ博士の公式はソーシャルメディアやゲーム会社に巨額の富をもたらしたが、この心理操作技術が子どもに与える影響についてのモラルは問われていない。例えば、仲間外れになりたくないという恐怖心を利用して、子どもがソーシャルメディアから離れられないように仕向けてもいいのか? 精神的な努力が必要な学校の課題から、子どもたちをSNSやゲームの考えない世界へ誘い込んでもいいのか? 家族とのふれあいや他の現実世界の重要な活動を犠牲するデジタル製品で子どもに褒美を与え続けてもいいのか?

脳をハッキング


心理操作技術は、意欲や中毒に関する神経伝達物質ドーパミンの放出を誘因するため効果的だ。ロスの「シリコンビーチ」にあるドーパミン研究のベンチャーは、心理操作技術が利益を増やすと豪語する。「あなたのアプリを我々の説得人工知能につなげ、利用者のドーパミンを放出させ、収入を30%増やしましょう」

ドーパミン研究所の設立者は、科学誌KQEDの中で、自分たちが開発した技術をは「ワクワクする」が「恐ろしい」と述べている。「世界中で何十万人の人たちの行動が静かに変わっていきます。自分たちが変えたと感じているが、実はそう変わるようにプログラムされているのです。」プログラマーはこれを「ブレイン・ハッキング」と呼ぶ。利用者がそのサイトに留まるように仕向けるのだが、当の本人たちは自分が選択したと信じて疑わない。


心の動きを覗き見る技術

シリコンバレーほど、無情で無規制の産業もない。ソーシャルメディアやゲーム業界は、注目、利益、生き残りをかけた勝負に誘導技術を使わざるを得ないと信じている。子どもの健康など計算に入れるべき要素ではない。

ソーシャルメディアやゲーム企業は、誘導デザインを使っていることを驚くほどうまく隠し通している。きっかけは2017年、フェイスブックの文書が「ザ・オーストラリアン」紙に漏れた。フェイスブックの幹部が作成した内部レポートでは、フェイスブックが広告主に対し、投稿や、やり取り、写真をリアルタイムにモニタリングすることで、フェイスブックがいつ10代が「不安」「無価値」「ストレス」「useless」「失敗」をトラッキングできるか豪語している。

どうして、ソーシャルメディアはそんなことをするのか。この記事には、フェイスブックがマイクロターゲット広告や、「若者が自信を得たいと思う瞬間」までトラックできると自慢している。

デジタルメディアで誘導技術を子どもに使うことは、心理操作という武器を最も適した瞬間に使うことであり、非常に強力である。このデザイン技術によってテック企業は子どもたちの頭と心を覗きこむ窓を手に入れ、子どもたちの脆弱性を測ることができるようになり、彼らの消費行動をコントロールできるようになる。これはいつか未来に起こることではない。今、起こっていることなのだ。フェイスブックは、この報告書が、歪められて報道されていると主張している。しかし、子どもを守る団体がフェイスブックに情報の公開を求めても、同社はそれを拒否。子どもに影響を与えるよう技術は秘密にしておきたいのだ。
シリコンバレーほど、無情で無規制の産業もない。ソーシャルメディアやゲーム業界は、注目、利益、生き残りをかけた勝負に誘引技術を使わざるを得ないと信じている。子どもの健康など計算に入れるべき要素ではない。


(前編おわり)






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