基本的なことは前編で書きました。
英検準1級を例に、英文の読み方を説明しますが、これはどの級にも当てはまります。
英検の問題には穴埋め問題と内容一致確認問題の2種類があります。
少し解くテクニックは異なりますが、心構えは同じです。
「パラグラフごとの要旨を捉える」
この一言に尽きます。
英検の読解問題は、1パラグラフに対し1つの設問で要旨を問われます。1つのパラグラフに2題問われるとはありません。重箱の隅をつつくような問題も出ません。そのパラグラフの要旨が理解できているかどうかだけが試されているのです。
コツ1 「パラグラフを全部読み終わるまでは選択肢を見ない」ことです。
英検準1級 2017年度第2回の英文です。
The Tasmanian Effect
When Europeans first reached the island of Tasmania in 1772, they found d the culture of the native peoples noticeably different from that of the native Australians on the mainland just 250 kilometres away. The mainland Australians had bone tools, needles, cold-weather clothing, and fish hooks, but these things were entirely lacking on Tasmania. Surprisingly, though, the island's inhabitants ( ).Over thousands of yeas, however, Tasmanian culture had become increasingly primitive, and nearly all the advances the people had made were lost.
まずは、当然、スラッシュリーディング
When Europeans (ヨーロッパ人が)first(初めて) reached the island of Tasmania(タスマニア島に着いた) in 1772(1772年、), they(彼らは) found (見つけた) the culture of the native peoples(原住民の文化が) noticeably(明らかに) different(違う) from that of the native Australians(オーストラリアの原住民と) on the mainland(本島の) just 250 kilometres away(250km離れた。). The mainland Australians(オーストラリア本島の人々はは) had(持っていた) bone tools(骨の道具), needles(針), cold-weather clothing(防寒着), and fish hooks(釣り針), but(だけど) these things(それらのものは) were entirely(すっかり) lacking (不足していた)on Tasmania(タスマニアには。). Surprisingly(驚いたことに), though(それでも), the island's inhabitants(この島の住民は) ( 空欄26 ). Over thousands of yeas(何千年もの間), however(しかしながら), Tasmanian culture(タスマニアの文化は) had become increasingly primitive(どんどん原始的になっていった), and(そして) nearly all the advances (ほとんどすべての進化)the people had made(その人々が成した) were lost(は消えた).
赤字は知っていなければいけない単語です。
青字は知っていれば、スムーズに読み進める単語です。知らない場合は赤字の知識を使って推測する必要がありますが、それでも推測は可能です。
息子を含め、私が指導した生徒の多くは、( 空欄26 )の所がくると、すぐに選択肢を読み始めます。これが間違える原因です。
今回の選択肢は以下の4つ
1)seemed to benefit from this (これの恩恵を受けていた)
2)used many other useful tools (他の便利な道具を使っていた)
3)had once possessed them (昔はそれらを所有していた)
4)had become more like mainland Australians (よりオーストラリア本島の人々のようになった)
( 空欄26 )までを読んだだけでは、私でも、どれかわかりません。
ここで悩む必要はないのです。というか、パラグラフを読み終えるまでは、選択肢を見てはいけないのです。大切なのは選択肢の後の本文の流れです。
この第一パラグラフの論理の流れば全部読まなければ見えません。上のスラッシュリーティングを読んでいただければわかるように、第一パラグラフの要旨は以下のとおりです。
「ヨーロッパ人がタスマニアに行った時、タスマニア人はオーストラリア人が持っているような道具は持っていなかった。( )。しかし(however)、タスマニアはどんどん原始的になっていき、すべての進化は失われてしまっていた。」
仮にprimitive 原始的な という単語を知らなかったとしても、つぎのadvenceがlostしたでこの文脈は理解できなればいけません。一度でわからなければもう一度読んでそのパラグラフの文脈を理解するのです。タスマニアに元々あった道具がなくなったのです。
そうなると、解答は当然、(3)です。
文脈を理解する上で必要なのが
コツ2 ディスコースマーカーを覚える
特に大切なのは、ディスコースマーカーと言われる、文章の流れを示す接続詞などです。
上の文中の赤い太字のHowever (しかしながら)
これは文章の論理が変わりましたよ、という逆接の合図です。
英検の読解の空所補充問題には、必ず、接続詞や副詞節などの問題が出ます。これらはディスコースマーカーです。
この次の問27がそうです。
選択肢は
1) In exchange (それの代わりに)
2) In spite of this (にもかかわらず)
3) Compared to this (それと比べて)
4) Otherwise (さもなければ)
「ディスコースマーカーは大切ですよ。きちんと勉強してきてくださいね」という英検の問題作成者からのメッセージが聞こえてくるようです。
Quizletにリストを作りましたので、覚えてくださいね。
コツ3 内容一致問題では、設問を見てから解く(選択肢は見ない)
英検の読解問題の後半は、内容一致問題です。
Tardigrade
Tardigrades - also known as water bears - are microscopic animals that live in watery environments and feed on juices from plant cells. These unusual creatures have recently attracted scientific attention because of their ability to enter a state known as cryptobiosis. When tardigrades are exposed to radiation, extremely hot of cold temperatures, or environments with no oxygen to moisture, a certain type of sugar replaces the water in their cells. their rate of digestion and breathing, as well as their cell functions, are then reduced to 0.01 percent of normal. Although the typical tardigrade has a lifespan of just one year, frozen tardigrades that had entered a state of cryptobiosis have been revived by researchers more than three decades later.
いきなり知らない単語で驚かすのも英検ではよくあります。キーワードがわからなくてもへこたれず読み進めます。その根性が試されていると信じて。
ちなみに私も、このパラグラフのキーワードのTandigradeとcryptobiosis の意味はわかりませんでしたが、全問自信を持って正解でした。(1級の問題も読解は全問正解でした。本業が翻訳業だから当たり前といえば当たり前ですが)
さて、スラッシュリーディングタイーム!
おっとその前に コツ3を思い出して、設問を読みます。
(32) Why have tardigrades attracted attention from scientists recently ?
(どうして、tardigrades が最近科学者の注目を集めているのか?)
Tardigradesが何かわからないけど、それが科学者から注目を集めていて、その理由が第一パラグラフの要旨になるんだな、と確信して、スラッシュリーディング!
Tardigrades(なんじゃそりゃ?) - also known as(別名) water bears (ミズのクマ、なんじゃいそれ?) - are microscopic animals (微生物の動物) that live in watery environments(水分の多い環境に住んでいる) and feed on juices from plant cells(植物細胞の液を飲んで生きている、、、そんな微生物知らん). These unusual creatures(これらの変な生き物は) have recently (最近) attracted scientific attention(科学者の注目を集めている、、、キター! この後が設問の答えだ!) because of their ability (理由は彼らの能力)to enter a state (ある状態の入る) known as (として知られる)cryptobiosis(cryptobiosis クリプトビオシス?なんじゃい?せっかく答えに行き着いたと思ったのにぃ).
答えはcryptobiosis という状態に入る能力があるから、とわかったのですが、そのクリプトビオシスがなんだかわかりません。でも、ここで選択肢を見ない!!!! パラグラフを読み終わるまでは選択肢を見てはいけません!!!科学界の注目を集める理由はクリプトビオシスだ!それが何か注意しながら読もう!と心してパラグラフの最後まで読み進めます。
When tardigrades (tardigradesが) are exposed (さらされたとき)to radiation(放射能), extremely hot of cold temperatures(超高温や超低温), or environments with no oxygen (無酸素の環境)to moisture(水分ゼロ、生物には過酷やなぁ), a certain type of sugar(ある種の糖分が) replaces the water(水と置き変わり) in their cells(細胞内で). their rate (割合、なんの?)of digestion and(消化と) breathing(呼吸の), as well as (もまた、要はand )their cell functions(細胞の働きが), are then (その時)reduced (減る、どんくらい?)to 0.01 percent of normal(通常の0.01%にまで ). Although the typical tardigrade(代表的なtardigradeは), has a lifespan (寿命を持っている)of just one year(1年間 だけども), frozen tardigrades(凍ったtardigrade) that (どんな?)had entered a state of cryptobiosis (クリプトビオシス状態にはいったtardigrade) have been revived(生き返らされた) by researchers (科学者によって) more than three decades later(30年以上も後に).
これはすごい生き物だって思いません?
このパラグラフの要旨は以下のとおりです。
「Tardigradeという変わった生物が科学界から注目を集めている。その理由はcryptobiosis。
過酷な環境に置かれるとtardigrade の水分が糖分になり、活動量が0.01%になる。そしてそのcryptobiosis状態になった冷凍tardigradeは通常1年の寿命なのに、30年以上後でもよみがえる」
ここで「へんな生き物」という本を読んだことのある生徒は、tardigradeがクマムシであると予測ができるでしょう。
クリプトビオシスの意味がわからなくても、過酷な状態では活動量が0.01%になったり、冷凍してクリプトビオシス状態になっても30年後に溶かすと生きているということがわかるでしょう。
上のように要旨がつかめれば、選択肢を見誤ることはありません。
選択肢は以下のとおりです。
Why have tardigrades attracted attention from scientists recently?
(なぜ、tardigrades は最近科学界からの注目を集めているのか?)
1)Their ability to slow down important physical processes allows them to survive in extreme environment (彼らの能力/遅らせる / 大事な体のプロセス / それによって/ 可能になる/ 生き残る / 過酷な / 環境でも)
もうこれはドンピシャですよね。他の選択肢を読む必要はないのですが、自信がなければその後の選択肢を読みます。
2)The large amount of sugar(大量の糖分) in their cells (彼らの細胞内の) makes them (彼らを)a valuable food source (貴重な食料源にする) for other animals (他の動物のための)
こんな選択肢を選ぶ生徒は、sugarの意味しかわかっていない証拠です。2級を再受験させます。
3)They have shown (彼らは見せてきた)that an organism's cells (organismの細胞) can remain healthy (健康なままである)for a long time (長い間)after the organism (そのorganismが) has died(死んだ後も).
これを選ぶ生徒は、不注意で、なんとなく、読んでいる生徒です。
organismは有機体、生き物という意味ですが、わからなくても、「死んだ後でも健康なまま」というところで変だと気づくべきです。死んでいませんし、活動量が0.01%になるとかいてあります。クリプトビオシスがどんな意味だろう、と注意深く読めているかが試されています。
4)The fact (事実)that they cannot digest (消化できない) sugar(糖分を) in certain situations (ある状況下では)makes them useful(彼らを有用にする) for studying (勉強するために)cell processes(細胞プロセスを)
これを選ぶ生徒も、まったく文章の意味がわかっていません。sugar(糖分)とcertain situation(ある状況)という言葉に惑わされてしまったのでしょうか。
とにかく、先に設問を読んで、それをヒントに、読んでください。それがそのパラグラフの要点です。(32)では、どんな能力で科学界の注目を集めたのか、わからない単語があってもめげずにしっかり読めるかどうかが試されているのです。
ちなみに、
次の(33)の設問は
クニエダ・タケカズの実験が示すことは、Dsupプロテインは、、、、
です。
そして、これはこのパラグラフの要点になります。
ですからDsupプロテインの意味がわからなくても、彼の実験の結果に注意しながら読めば答えは見つかります。選択肢は読んじゃだめですよ。設問だけです。
とにかく第2パラグラフの要旨をつかんでください。
本当は最後まで解説したいのですが、長くなりすぎても良くないので、ここまでにします。
3つのコツ 覚えましたね! とにかく、そのパラグラフで何が言いたいのかを読み取る努力をしてください。
英検まであと1週間。頑張ってくださいねー。
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