2週間で体験して学んだことを、こうして広めてくれることに感謝です。
現地では、学生、ホストファミリー、学校、合わせて100人を超える人たちが20人前後の日本の生徒たちの教育に関わってくれて、その数は、毎回増えています。
今回の作文にでてくる、シンガポール人と結婚して仏教から「イスラム教に改宗した日本人女性」とは、私の友人ヤスコさんです。
いつも分かりやすく、深い宗教の話をしてくれます。
いつも分かりやすく、深い宗教の話をしてくれます。
では、 中2のSちゃんの作文をお読みください。
「私は、この夏休みにシンガポールに短期留学をした。これは、語学力を身につけ、子ども達に将来国際社会に貢献できる人材になってもらいたいという主催者の熱意で企画された2週間のプログラムであった。シンガポールではたくさんの人と話をする機会を得て、異文化について学ぶことができた。
シンガポールでは現地の高校生達と一緒に過ごしたが、少し驚いたことがあった。それは初めてフードコートで一緒に食事をした時のことだ。食事を選ぶ際に、ある女子学生が「私はイスラム教なので、豚肉は食べることができない」と言ったのである。そのため別の料理を勧めてみたが、「同じ店で豚肉を調理しているから、別の料理も駄目」と言われてしまった。イスラム教とはなんと厳格な宗教なのだろう、と私は思った。彼女はいつも長袖長ズボン姿で、頭にスカーフを巻いていた。おそらく宗教上の理由であることは感じていたが、一年中暑いシンガポールではなかなか辛いことであろうし、女性にだけそのような格好を強いることに疑問を感じた。
その後、シンガポールでイスラム教の寺院であるモスクを訪問する機会があった。その時に、結婚を機にイスラム教に改宗した日本人女性からイスラム教についての話を聞くことができた。そこで、イスラム教徒の女性が肌を隠さなければいけないという決まりの理由を知ることができた。その理由は、イスラム教では女性を大切で大事な宝石と考え、布などで守るという考え方があるからだそうだ。また、ラマダーンの意味についても教えていただいた。ラマダーンとはイスラム教徒が断食を行なう一ヶ月間のことで、その期間中は日の出から日没まで一切の飲食をしてはいけないと決められている。最初にこれを聞いた時、そのような苦しいことを信徒にさせるのは酷いと思った。しかしそれにも理由があり、ラマダーンは、食事を満足に摂ることのできない貧しい人の気持ちを知り、思いやりの気持ちを育てるという目的で行われるものであることを知った。私たちに話してくれた日本人の方は、ラマダーンの期間中は全てのことに感謝の気持ちを持ち、みんなに優しく接することができるようになると話していた。
私は、今回の留学に行くまでイスラム教徒の知り合いはおらず、シンガポールに着いたばかりの頃はイスラム教徒の人には話しかけづらいと感じていた。頭にスカーフを巻いている外見に、自分と違うものを感じていたのだと思う。自分と違うものや、知らないことに対しては、どうしても怖いと感じてしまう。2週間の間に私とイスラム教徒の女子学生はたくさん話をし、すっかり仲良くなった。勿論、今の私はその女子学生のことを怖いと思うことはない。
シンガポールは多民族国家であり、中華系、マレー系、インド系、その他、と様々な民族から構成されており、それぞれ宗教も異なっている。仏教、道教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教・・・。シンガポールでは、憲法で民族・言語・宗教などを平等に扱うよう規定されているそうだ。シンガポールのような多民族国家では、違いを認め、お互いを尊重することが当たり前のようになっていると感じた。
では、私はシンガポールに行くまで、イスラム教やイスラム教徒のことについてどの程度知っていただろうか。実際にはほとんど何も知らないにも関わらず、イスラム教徒のことを「なんとなく怖い」と思い込んでいたと思う。それは、イスラム教徒の人が起こしたテロ事件などの報道などでしか、イスラム教のことを知る機会がなかったことも影響している。私はイスラム教徒のごく一部の人が行なったことを、イスラム教徒全体のイメージとして捉えてしまっていた面があったことに改めて気が付いた。これは、相手を知らないこと、知ろうとしなかったことから生まれた間違った思い込みと言えるだろう。知らないことから生まれるこういった思い込みは、差別に発展しかねない問題だと思う。
信じていること、大事に思っていることは、人によって違うのが当たり前だ。相手を尊重するということは、互いのことを知ることから始まるのではないだろうか。自分と相手は違っていても良い。どこが、どのように違うのかを理解することができれば、思い込みから生じる偏見をなくすことができると私は考える。そのためには、まず相手のことを理解するよう努めると同時に、自分のことも相手に伝えていく努力をしていく必要があることを今回の留学を通じて学んだ。」
Sちゃんをはじめとする私の生徒たちが学んでくれたことは、人生で とっても大切なことです。
私は、中高生の感性と可能性が大好きです。
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